エーミールと三人のふたご(エーリヒ・ケストナー)

 エーミールと三人のふたご(エーリヒ・ケストナー
「エーミールと探偵たち」の続編的位置づけ
ケストナーの作品は、五作目
エーミールと探偵たち 点子ちゃんとアントン ふたりのロッテ 飛ぶ教室
 「くろうとのみんなへのまえがき」にこんな文章がある。岩波少年文庫版16頁
 ぼくは、自分が知らない、知り合いもいない町を散歩するのが好きなのだ。そうすると、何だか外国に来たような気がする。そして、しんそこひとりぼっちでさみしくなると、いそいで家に帰って、リヴィングでとっくりとコーヒーを楽しむ。
 まあ、僕はそういう人間なのだ。

 そうだ、私もコロナ騒動が収まったらやってみよう。自分を見つめることができそうな気がする。

72頁にこんな文もある。心理学でいう、「個人の主観的な間隔による時間」認知について、分かりやすく書いてある。

 来てほしくないなあと思っているいやな日々や時間は、風よりもはやくやってくる。嵐にかりたてられるまっ黒い雨雲のように、あっという間にに近づいてくる。
 でも、うれしい日々は、のろのろとやってくる。まちどおしい日々は、年という迷路をさんざん苦労して通りぬけ、ようやく僕たちのもとへたどりつく。

 この後、夏休みになった時の気分が表現されている。夏休みは子どもにとって必要なのだ。もう一つ

 そして、2年前の時より、ずっとはやく列車はドイツの首都ベルリンに近づいた。
 たいて、そんなもんだ。すぐそこまで散歩に行くのも、鉄道で旅するものおなじこと。二度目は、同じ距離なのに、一度目よりうんと短く感じられる。(距離は、メートルやセンチメートルではかれるものとばかりはかぎらない)

 97頁 初めて海を見たみんな

 みんなは、だまってよりかたまって、じっと海を見つめていた。
 おばあさんが、ちいさな声で言った。
「やっとわかったは、わたしがこんなおばあさんになるまで生きてきたわけが」

 作品の中に、自分の思想をさりげなくちりばめてある。読むと自分の人生観を揺さぶられるそんな小説がいいと私は思う。
 ただおもしろいだけ・・・売れればいい、それではだめだ 作者の主張がなければ・・・世の中にいいたいことは何か???