珈琲の時間(5)(天声人語)1月のコーヒー 2020年1月20日朝日新聞朝刊より

天声人語)1月のコーヒー 2020年1月20日朝日新聞朝刊より
 俳人の酒井弘司(こうじ)さんに〈宇宙さみし一月のコーヒー店の句がある。寒い日、人のまばらな店で静かにコーヒーを飲むのはさみしいような、いやむしろ贅沢(ぜいたく)なような。物思いにふける対象が宇宙にまで及ぶとすれば、楽しくもある
 この国の暮らしに、これほどコーヒーが入りこんだのはいつからだろう。まちを歩けばチェーンの店がすぐ目に入る。100円のコンビニのコーヒーもある。当方も、一杯も口にしない日はどこか落ち着かない
 社会学者の故・清水幾太郎(いくたろう)さんは、コーヒー中毒を自認した人だ。それだけに戦中戦後のコーヒー不足はつらかったとエッセーに書いている。戦争で輸入が減り、ついに止まった時のつらさは「終生、これを忘れることがないであろう」。戦後は焼け跡を歩き回り薄い一杯にありついた
 何とかして豆を手に入れると、うれしくて、出入りの編集者らにふるまった。みんな喜んで飲んだが、帰りに駅のベンチに横たわってしまう人もいたという。何年かぶりのコーヒーに酔ったようになったらしい。一種の飢餓状態だったか
 今は昔。そう思っていたら、気候変動でいずれ世界的に品薄になるとの説があるらしい。代表的な豆の種類に適した産地が、半分以上失われる時期が来るとの見方から、業界には「2050年問題」との言葉もある。増える需要を賄えないのでは、との懸念である
 「まさか」ですまされるのか、「もしや」なのか。そんなことを考えつつ、きょうの何杯目かを口にする。

 私はコーヒー店で飲むより、自分の部屋で飲む至福の一杯が好きだ。実働4種類のコーヒーサーバーを並べ、日替わりで使っていく。サイホンも並べてはあるが、あまり使わない。下の写真はカリタの最新鋭 色は青だけど 京都の東急ハンズで最後の一品を購入 まったりとしたいい味を出す

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